お客様のニーズに寄り添う、きめ細やかな仕事で、設立25周年
データ入力のプロフェッショナルとして2017年に会社設立25周年を迎えた、株式会社クォス。社長の(のぐち あきこ)が43歳の時、自宅をオフィスに起業してから四半世紀。「このように事業に邁進する人生になるとは、夢にも思っていませんでした」。
クォスは、データ入力業界一筋45年の専門家である野口を筆頭に、全従業員がデータ入力を基礎から学んだプロフェッショナル集団である。オペレータは入力スピードを競い合う程、高いプロ意識を持つ。もう一つの特徴は、「お客様のやりたい事を汲み取る」力が優れていること。
相手の気持ちに寄り添う洞察力が、きめ細やかな対応に繋がっている。それは、在宅オペレータを含む全従業員の99%が女性で、共感力を自然と持ち合わせているからかもしれない。
「弊社はデータ入力だけでなく、入力したデータをどのように活用したいのか、『お客様が本当にやりたいこと』を実現できる方法をご提案しております」
祖母、母の働く姿を見て、「一生働きたい」と思った文学少女
野口は1947年、東京都八王子市に生まれた。母は、祖母の代から営む下宿屋(昭和時代に多く存在した、自宅の一室を学生に貸して食事の世話をする宿)を切り盛りしていた。「今でいう文学少女でした。祖母も母も『働く人生』だったので、私も『仕事を一生やりたい』と思うようになりました」。
明治時代に新聞記者だった祖父の影響を受け、「新聞記者になろう」と、日本大学法学部新聞学科に進学。その頃からジェンダー思想が盛り上がり、女性もしっかりと職業人生を歩むことを自然に感じていた。
手動式タイプライターからコンピュータに変遷する時代に就職
「手に職を付けたい」と突然思いついた野口は、新聞の3行広告で、手動式タイプライターの「タイピスト」のアルバイトを見付けた。そして大手情報処理サービス会社で働き始めた。情報処理が、手動式タイプライターからコンピュータを使ったものに変遷し始めた時代。
また当時としては珍しく、女性の活用に熱心な会社で、野口は短時間アルバイトからフルタイム勤務の「キーパンチャー」となり、20代で管理職(スーパーバイザー)となった。
「女性の上司が辞めることになり、私に『管理職にならないか』と声がかかったのです」。20名の部下を持ち、朝から夜中まで働いた。「働くことが楽しく、使命感のようなものを感じていました」。同社の創業社長から直接経営ノウハウを叩き込まれ、「企業は社会のために存在する」と習った。
「社長に可愛がってもらいましたが、ほとんど褒められたことはありません。今の会社を始めてからも時折、経営の相談をさせていただきました。あの会社に就職したことが、運命の変わり目だったように思います」。それから45年、野口は「データ入力」に携わることになるのだ。